小説

一章1.レギオンの過ち

 草木も眠る夜、雨が上がった。 静寂しじまが周囲を支配している。その夜寝付けなかった青年には、雨音が途切れてしまった事は嬉しくないことだった。なぜなら彼の腕の中で眠る主あるじの存在を、否応なしに意識してしまうからだ。「は………」 できるだけ…

黒い薬湯、東より来たりて

 砂漠の果てのまた其の先に、冥界ドゥアトではない異境の地があるという。遠路遥々を経て献上品の中に紛れ埃及エジプトにたどり着いた黒い種のような何か。アステカでも貴重なものとして捧げられたそれは麻の袋に詰められ神殿へと納められた。「これは何? …